診療報酬制度の変更が看護師に与える影響

医療機関にとって、診療報酬は最大の収入源です。行った医療サービスに対して十分な報酬を受け取ることができてこそ、健全な病院経営が成り立ちます。保険医療の中では、どのような条件でどれほどの診療報酬を受け取れるかは、厚生労働省が定める診療報酬点数表で決まります。

看護師が主体的にかかわる医療行為も当然、診療報酬の算定対象なので、算定の条件が変化すれば看護師の配置や職務に影響が及ぶことがあります。ちなみに血圧測定のように、基本診療料に含まれるために個別には点数がつかないものもあります。

もちろん、どのような医療サービスも報酬が高いか低いかだけで実施の有無を決めるというものではありません。ただ、医療機関が一定の条件を備えることで診療報酬を増額できるような制度が新設されれば、その条件整備に向けて積極的に動くということは当然あり得ます。例えば、特定のケアを実施するため専任の看護師を含む医療チームを設置するという条件が設けられれば、多くの病院で専任の看護師を配置できる体制を組むことが予想されます。

もう一つ、医療費抑制の流れを受けての大きなポイントとして入院料の改定があります。病棟に配置される看護師数を減らす方向に誘導するため、比較的高額な入院料を算定できる条件を、看護必要度の高い重症患者が入院していた割合と結び付けて厳格化するという形で表れています。

その結果、病院によっては病棟勤務の看護師の募集が減るとか、重症患者の占める割合が増えたりという事態が予想されるわけです。病院経営の基盤である診療報酬制度は、1年おきの改定が通例となっています。看護師に大きな影響が及ぶこともあるので十分注目していく必要があります。